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お知らせ

2022.04.20

免疫介在性腸炎(IBD)

健康診断や病気で受診した際の血液検査でアルブミンが少ない、と指摘されたことはありませんか?頻繁に吐いたり下痢や軟便をしたり、似たような症状を繰り返してはいませんか?
 犬の胃腸炎にはさまざまな種類があり、感染症や膵炎、異物や腫瘍の他に、自己免疫による腸炎(免疫介在性腸炎:IBD)が含まれます。
IBDとは、自分の免疫が自分の腸に対して不適切に反応してしまう、という病態で、通常の胃腸薬のみでは改善がみられないこともしばしばです。食物アレルギーが関与している、とも言われています。様々な犬種でみられますが、主に小型犬に多くヨークシャー・テリアやミニチュア・ダックスフント、トイ・プードルなどに多く認められています。
IBDの中でも「リンパ管拡張症」とよばれる病気は、体に必要な栄養素が腸管のなかにリンパ液として漏れ出てしまう困った病気です。吐き気、下痢、体重減少や食欲不振に加えて、タンパク質が漏れ出て足りなくなるため血液検査で低アルブミン血症がみられるようになります。

食事療法や胃腸薬で改善しない!繰り返し消化器症状が出る!その場合は、IBDや他の病気が隠れていないか調べるため、エコー検査や消化管内視鏡による検査が有用です。
エコー検査では腸壁の模様を確認することで、診断へのヒントを得る事ができます。エコー検査であれば、消化管内視鏡のように麻酔をせずとも検査をしてあげることが可能です。
 消化管内視鏡では、胃と十二指腸の途中まで胃カメラを入れ、粘膜の荒れを画像で確認します。症状が下痢の場合は大腸を対象に検査します。また、腸粘膜の一部を採材して病理検査を実施する事が可能です。IBDや消化管腫瘍にも診断にはこのような組織を専門の病理医に診てもらう病理検査が必須です。

IBDと診断された場合はそれに見合った低脂肪食もしくはアレルギー食への変更や、抗生剤・ステロイド・免疫抑制剤・サプリやビタミン剤の使用を検討します。また、IBDは通常の単なる胃腸炎とは違って、長期の食事管理や内科治療といった繊細なケアが必要になります。
 嘔吐や下痢の原因は、軽い病気から重い病気まで本当に様々です。
 もし、おうちのわんちゃんが消化器症状を繰り返し、悩んでいる場合や、アルブミンが少ないと言われた場合、消化管内視鏡について相談したい場合、など、一度獣医師までご相談ください。