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お知らせ

2022.04.20

消化管内異物

元気いっぱい好奇心旺盛なわんちゃんは、散歩中やおうちの中で、ついつい何でも拾ってくわえてしまいます。やんちゃざかりの猫ちゃんは、おもちゃの紐ごと歯にひっかかって、そのまま飲み込んでしまうことも。
 「ちょっとぐらいなら」「小さい物だし・・・」と思われがちですが、異物の誤食は命にかかわる大問題に発展する可能性があります。安易に大丈夫と判断せず、動物病院で相談することが大切です。

 異物が消化管の中でつまってしまった場合、「食道」「胃」「腸」のどこにあるかで、症状や治療法が変わります。以下でご紹介いたします。

食道

体格にあわないサイズのおやつ(ジャーキーや骨)、胃の入り口を通れない固い異物(種やりんごの欠片など)等が危険です。症状は、咳、吐きたそうにするけど吐けない、痛み、息が苦しい、食欲不振などがあげられます。釣り針などの尖ったものが食道を穿孔した(穴があいた)場合、重篤な呼吸困難に陥る事も考えられます。
 治療法としては消化管内視鏡による異物の除去が有用です。
 また、異物の刺激によって食道粘膜に傷がのこると、数日から数ヶ月後に食道狭窄(食道自体が狭く、固くなって食事が通らなくなってしまう病態)が発生することがあります。その場合の治療法としては、バルーンカテーテル(図)によって、何度かにわけて食道をひろげる治療が必要になります。

胃の中の異物も、粘膜を傷つけて胃潰瘍を起こしたり、とがった異物(串やマチ針など)は特に穿孔の原因となり、危険です。幽門(胃の出口)は非常に狭いため、そこに異物がはまりこんで完全閉塞を起こしてしまうと、重度の嘔吐を引き起こし、最悪の場合、循環不全や胃拡張によるショック、敗血症を引き起こして亡くなってしまうこともあります。
 治療には消化管内視鏡による異物の摘出が最適です。小さい異物であればお薬で吐かせる処置を選ぶこともできます。しかし、大きい物や尖った異物はそれらの方法では取り出せないので、胃切開による摘出が必要です。過去にはテニスボールやぬいぐるみ、安全ピン付きブローチなどが摘出されたこともあり、大きい物でも「まさか飲み込まないだろう」という油断はできません。

十二指腸や小腸は胃よりもスペースが狭く、異物がつまってしまう可能性が高くなります。嘔吐が生じるのはもちろん、異物の刺激や腸がねじれることで血液がめぐらなくなり、腸管が壊死(くさってしまう)したり、破れて腹膜炎を起こす可能性があり非常に危険です。口から入れる胃カメラも小腸には届かないため、つまってしまった場合は腸を切る手術が必要です。

まとめ

異物の閉塞部位を見分ける為には、レントゲンやエコー検査がとても大切です。血液検査で異常がある場合はより重症と考えなければいけません。疑わしい症状がある場合は動物病院を受診し、獣医師に異物の可能性をしっかりと伝えて下さい。

 また、異物誤食は予防が大切です。小さい頃から道になにか落ちていても素通りできるように根気よくしつけをしましょう。拾ってしまう癖のある子は日頃から家の中の物を眼の届かないところに片付けましょう。また、留守番中はゲージに入れる、散歩中はリードを短くしたり必要に応じてカラーや口輪をつける、おなかが空きやすい子は食事回数を増やす、などの対策をとってください。
 誤食を予防するのは飼い主様の大切な役目です。大事な家族のため、どうぞよろしくお願いします。